2007年 09月 12日
マリヤニ滞在記 in 大阪 9/12 |
マリヤニは明日からラマダンに入ります。イスラム教のラマダン約1ヶ月間は、日の出から日の入りまでの飲食を断たなければなりません。1日に5回、日が沈む方角(メッカの方角)に祈りを捧げ、食事ができるのは午後6時以降くらいだそうです。ラマダン期間中は1回の食事で十分な栄養を摂れるようにするため、一般的に夜の食事は通常より盛大になるようです。
ラマダンに備えて、今日は Halal Food のお買い物です。イスラム教ではアラーによって食べることを許された食品をHalalと言い、野菜や果物、魚などはHalalになります。豚肉は禁じられていて、鳥や牛については屠殺時の祈りとイスラム法に基づく屠殺方法で処理された肉のみがHalalになります。何年も前、「味の素」に豚の酵素が使用されていて、イスラム教徒からボイコットされた事件がありましたが、原料に動物性油脂が含まれている物も要注意です。
買い物前の腹ごしらえに、回転寿司にトライ!先日、マリヤニに寿司を知っているか尋ねたら、マレーシアにも寿司屋(日本人向け)はあるけれども値段がすごく高い。マレーシアでは失業者も多く、高い寿司を食べる者はいないと言っていました。回転寿司なら安いから、せっかく日本に来たのだから食べに行こうと誘ってみました。
店に入ってまずセルフサービスのお茶ですが、マリヤニは飲めるけれども、川喜多さんが入れてくれたグリーンティーには砂糖を入れて飲んだし、ここのお茶は味も違うとあまり好みではない様子。そして回ってきた「姿ヤリイカ」を一皿取って口にした途端、「It's not cooked!(調理されてない)」と吐き出してしまいました。寿司は生魚が乗っていますよと説明していたのですが・・・。玉子焼やカキフライ寿司も少し口にした程度で、一番良く食べてくれたのは「おいなり
さん」でした。彼女曰く、やはり寿司は「unfamiliar(慣れない)」だそうです。
さて、お目当てのHalal Food 店は神戸ムスリムモスクの目の前です。先にモスクを訪問しました。礼拝堂は1階と2階に入り口があり、2階から1階の説教壇が見下ろせるようになっています。1階は男性用、2階は女性用と礼拝場所が定められていました。祈りは常に男性が前、女性が後ろでなければならないそうです。
マリヤニは2階のドアを開け、入り口のプラスチックケースに入った貸出用の白いヘジャを身にまとって、お祈りを始めました。一心に祈りを捧げる彼女を見ていると、『敬虔さ』というのを感じます。大半の日本人はこういった宗教に対する敬虔さを持てないなとつくづく感じます。
モスクの中は、静かで柔らかな雰囲気が満ちていました。仏教であれば仏像、キリスト教であればマリア像や絵画が祭られていて、そちらへ集中する荘厳なエネルギーのようなものを感じるのですが、偶像崇拝を禁じられているモスクの中は、ただメッカの方向を示す説教壇があるのみです。ムスリムの祈りによって、静かで安らぐようなモスク内部のエネルギーが築かれているのだろうと思います。イスラム教もまた、平和を祈る宗教であることにかわりはありません。
モスクを出たあと、少し横手へ回った所にあるHalal Food店へ入りました。日本女性2人が切り盛りしていて、客の出入りが結構ありました。マリヤニは「Expensive(高い)!」とつぶやきながら、チキンや調味料を次々にカゴへ放り込んでいきます。私は店の中で右を見ても左を見ても、何だか見知らぬ物ばかり。逆にマリヤニからすれば、日本の食べ物はずいぶん馴染みにくいものなのでしょう。普段は質素なマリヤニでも、ラマダンを前にせっせと買い物している姿
を見ると、神戸までHalal Foodを買いに来た甲斐があったなあと感じました。
その後、もう一軒モスク前のHalal Food店へ。開店時間中なのにドアには鍵が掛かっていました。「店の人は、今モスクでお祈りの時間だと思う。」とマリヤニ。しばらく待っていると店主が戻ってきました。私はそこで食パンとサモサを買いましたが、冷凍されていた食パンは前日に期限が切れていたので、店主は料金はいらないと言ってくれました。「あなたも持って帰る?」とマリヤニにも食パンを渡してくれる優しい店主でした。マリヤニは態変事務所へのお土産にナツメヤシのドライフルーツを買って帰りました。
余談になりますが、9.11からちょうど6年経ちます。イラク戦争後のイラクの子供たちの絵画展を見に行ったとき、説明文にこんなことが書かれていました。
「おかあさん、私の家はシーア派なの、スンニ派なの?」 母親は答えました。
「どちらでもないわ、私たちはムスリムよ。」————— アメリカの石油利権に端を発して分断され、混迷し続けるイスラム世界。そのアメリカの戦略に加担してきた私たち日本人にも大きな責任があるはずですが、せめて宗教や文化の違いを受け入れ、大切にできればと思います。
(北角和恵)
ラマダンに備えて、今日は Halal Food のお買い物です。イスラム教ではアラーによって食べることを許された食品をHalalと言い、野菜や果物、魚などはHalalになります。豚肉は禁じられていて、鳥や牛については屠殺時の祈りとイスラム法に基づく屠殺方法で処理された肉のみがHalalになります。何年も前、「味の素」に豚の酵素が使用されていて、イスラム教徒からボイコットされた事件がありましたが、原料に動物性油脂が含まれている物も要注意です。
買い物前の腹ごしらえに、回転寿司にトライ!先日、マリヤニに寿司を知っているか尋ねたら、マレーシアにも寿司屋(日本人向け)はあるけれども値段がすごく高い。マレーシアでは失業者も多く、高い寿司を食べる者はいないと言っていました。回転寿司なら安いから、せっかく日本に来たのだから食べに行こうと誘ってみました。
店に入ってまずセルフサービスのお茶ですが、マリヤニは飲めるけれども、川喜多さんが入れてくれたグリーンティーには砂糖を入れて飲んだし、ここのお茶は味も違うとあまり好みではない様子。そして回ってきた「姿ヤリイカ」を一皿取って口にした途端、「It's not cooked!(調理されてない)」と吐き出してしまいました。寿司は生魚が乗っていますよと説明していたのですが・・・。玉子焼やカキフライ寿司も少し口にした程度で、一番良く食べてくれたのは「おいなり
さん」でした。彼女曰く、やはり寿司は「unfamiliar(慣れない)」だそうです。
さて、お目当てのHalal Food 店は神戸ムスリムモスクの目の前です。先にモスクを訪問しました。礼拝堂は1階と2階に入り口があり、2階から1階の説教壇が見下ろせるようになっています。1階は男性用、2階は女性用と礼拝場所が定められていました。祈りは常に男性が前、女性が後ろでなければならないそうです。
マリヤニは2階のドアを開け、入り口のプラスチックケースに入った貸出用の白いヘジャを身にまとって、お祈りを始めました。一心に祈りを捧げる彼女を見ていると、『敬虔さ』というのを感じます。大半の日本人はこういった宗教に対する敬虔さを持てないなとつくづく感じます。
モスクの中は、静かで柔らかな雰囲気が満ちていました。仏教であれば仏像、キリスト教であればマリア像や絵画が祭られていて、そちらへ集中する荘厳なエネルギーのようなものを感じるのですが、偶像崇拝を禁じられているモスクの中は、ただメッカの方向を示す説教壇があるのみです。ムスリムの祈りによって、静かで安らぐようなモスク内部のエネルギーが築かれているのだろうと思います。イスラム教もまた、平和を祈る宗教であることにかわりはありません。
モスクを出たあと、少し横手へ回った所にあるHalal Food店へ入りました。日本女性2人が切り盛りしていて、客の出入りが結構ありました。マリヤニは「Expensive(高い)!」とつぶやきながら、チキンや調味料を次々にカゴへ放り込んでいきます。私は店の中で右を見ても左を見ても、何だか見知らぬ物ばかり。逆にマリヤニからすれば、日本の食べ物はずいぶん馴染みにくいものなのでしょう。普段は質素なマリヤニでも、ラマダンを前にせっせと買い物している姿
を見ると、神戸までHalal Foodを買いに来た甲斐があったなあと感じました。
その後、もう一軒モスク前のHalal Food店へ。開店時間中なのにドアには鍵が掛かっていました。「店の人は、今モスクでお祈りの時間だと思う。」とマリヤニ。しばらく待っていると店主が戻ってきました。私はそこで食パンとサモサを買いましたが、冷凍されていた食パンは前日に期限が切れていたので、店主は料金はいらないと言ってくれました。「あなたも持って帰る?」とマリヤニにも食パンを渡してくれる優しい店主でした。マリヤニは態変事務所へのお土産にナツメヤシのドライフルーツを買って帰りました。
余談になりますが、9.11からちょうど6年経ちます。イラク戦争後のイラクの子供たちの絵画展を見に行ったとき、説明文にこんなことが書かれていました。
「おかあさん、私の家はシーア派なの、スンニ派なの?」 母親は答えました。
「どちらでもないわ、私たちはムスリムよ。」————— アメリカの石油利権に端を発して分断され、混迷し続けるイスラム世界。そのアメリカの戦略に加担してきた私たち日本人にも大きな責任があるはずですが、せめて宗教や文化の違いを受け入れ、大切にできればと思います。
(北角和恵)
by taihen_imaju
| 2007-09-12 11:44