2012年 06月 05日
『虎視眈眈』稽古① |
先週、劇団のアトリエでのソロ公演『天にもぐり地にのぼる』を終えたところだが、今日から10月の新作公演へ向け稽古が始まった。「竜」の次は「虎」だ。どんな虎が現れるのか。
演出、役者5名、スタッフ3名で稽古開始。まずは、『虎視眈眈』というタイトルについて、どんなイメージを持つか出し合う。この新生劇団態変の皮切りとなる新作のタイトルだけは早くから聞いていたが、さて、劇団態変は、今、何を凝視するのか。存続の危機を迎えてからの、生き残りをかけ始まるここからの戦いだ。河原乞食の原点に立ち、「野垂れ死の精神」で、それでも、いや、それだからこそ、表現せずにはいられないものがある。今度の舞台は、そんな舞台になるんじゃないか。そんなことを私は考えていた。
ディスカッションの中で、幾つかの補助線が引かれ、作品の片鱗が、おぼろげに姿を現してくる。まだそれは予感でしかないけれど、穴倉に潜む虎は鋭い視線を投げかけてくる。己自身に。己の出自に。父性とか母性とかいう名前で呼ばれるものに。「最後に残るのは家族?」穴倉で、虎が不敵に笑う。
言葉からイメージを膨らませた後で、役者一人一人の「虎視眈眈」を即興で行う。虚空に投げ出されたひきつった指先、床なんて邪魔だとばかりに大地へ突き刺さる腕、巨漢から出てくる微細な震え。こんな言葉よりも、雄弁に、くびきから放たれようとする身体が、語り出す。
これは、ただでは済まない。
小山潤(黒子)
新作『虎視眈々』全体稽古初日だった。作品に対するワークショップを通じて深めた。
日本は、一見平和な国に見えるが不透明が至るところに現れているじゃないか?
という印象を持ちました。
その中で父性・母性の話になって、特に父親に対する感情を語りあった。幼い時に、誰でも要らないメッセージを大人から受ける。特に父親から受ける抑圧・威圧感が染みついている。この『虎視眈々』はそれらを一掃するが必要なのか?身体で探求しなればならない。
僕自身のテーマに『過去・現在・未来』を掲げた。現在を軸にして過去を辿る。現在を軸にして未来を切り開く。役者自身の過去を向き合いながら未来を予感させるような作品にしたいです。
下村雅哉(役者)
by taihen_imaju
| 2012-06-05 15:46
| 『虎視眈眈』2012.10.5~大阪